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2006/12/04

最近の新刊から 『ドーナツブックスいしいひさいち選集 39 ライ麦畑でとっつかまえて』『暴れん坊本屋さん(3)』『ドラゴン桜(16)』

781ドーナツブックスいしいひさいち選集 39『ライ麦畑でとっつかまえて』 いしいひさいち / 双葉社

 うーぬむぬむむん?
 バラエティに富んでいた前巻に比べて,今ひとつキレが悪いというか……得した気分が薄い。『ライ麦畑でとっつかまえて』という毎度の名作文学パクリタイトルも,伝説の(か?)『いかにも葡萄』や『椎茸たべた人々』『伊豆のうどん粉』に比べて面白くない。
 しいていえば用務員の操る「シュリ剣抜き器」の存在感と,最後のページ,青空に抜けるような外れ矢がお見事。……何の本の紹介なんだこれは。

 次巻は第40巻,ドーナツブックス収録作だけで通算5000を超える。
 本作は今ひとつだったが,朝日朝刊の『ののちゃん』のクオリティは今朝のもなんちゅーかで,いしいひさいちが相変わらずいしいひさいちであり続けているところはすごい。

『暴れん坊本屋さん(3)』 久世番子 / 新書館 UN POCO ESSAY COMICS

 1巻めが大手新聞の書評欄で取り上げられるなど,ベストセラーとなった(のだろう,書店でのあの平積み度合いを見ると)書店店員エッセイコミック。
 この手の作品はヒットすると売れる間は出来る限ーーーり引っ張ることが多いのだが,帯にこの3巻で完結とある。思いがけず動揺した。どうやら自分で思っていたよりずっとこのオバQが気に入っていたようだ。
 要は,本好きは本好きな人が好きなのである。多分。

『ドラゴン桜(16)』 三田紀房 / 講談社モーニングKC

 東大を目指す登場人物の一人,水野直美が初めて表紙をピンで飾った。これには意味がある。
 『ドラゴン桜』は,ダメダメな龍山高校を立て直すために,債権整理を請け負った弁護士桜木が特別進学クラスを組織して東大合格を目指す物語である。特進クラスの水野,矢島は,有能かつ個性的な講師陣の教えに少しずつ学力を高め,マンガ作品としてよりはその過程における勉強法がウケているわけだが……。
 前巻の手帳の話といい,今回の学力の話といい,ここ数巻は,水野がただの教えられっ子から,いかに自分自身で力をつけてきたかが大きなテーマとなっている。つまり,『ドラゴン桜』は,ここにいたってようやく水野や矢島にとっての成長物語となりつつある,ということである。
(非力な主人公が超人的なマスターと出会って成長し,強敵と倒していくのは少年マンガの王道パターンである。が,『ドラゴン桜』は,16巻を費やしてなお,主人公にあたる二人は自力で試験に出願することもできない。これは,実際に東大を受験する高校生においても大同小異だろう。勇者候補生には,高校二年の秋あたりに本書をがーっと読むことをお奨めしたいものだ。)

 なお,勉強に適した姿勢,計算のテクニック,試験の際の心構えなど,この第16巻は(受験生だけでなくおそらく社会人にとっても)役立つ情報が少なくない。
 惜しむらくは,受験生として精度を高めた水野や矢島が,登校の途上で淡々と目に入る光景を英語で表現したり,通りがかった車の番号4桁を足したり掛けたり縦横に計算してみせるシーンが次の17巻にこぼれてしまった。
 「学生が勉強する姿」を美しく描いたという点で,稀有なシーンである。次巻の発売が今から楽しみだ。

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