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2006/11/13

毒とも薬とも 『のりこ』 二階堂正宏 / 新潮社

726【頭を割るんじゃなくて お湯で割ってほしかったのよ】

 あちこちの書店でA5版,つまり大判のマンガ棚に割合よく見かける本なのだが(新潮社の営業力のタマモノだろう),昨今はマンガ本にビニール掛けしている書店が多く,内容を気にかけていた方も少なくないに違いない。

 『のりこ』は,林静一ばりの伏し目がちな美人妻が,七年間寝たきりの義母を殺そうとするが,義母は嫁を投げ飛ばし,マンガ的な回復力をもって生きながらえる。ただその繰り返しで1冊である。

 たとえば,(三河屋が届けてきた鯛を)「三枚におろせるかしら」と義母が問えば,嫁は包丁をふるって義母を三枚におろそうとする。「頭が重い」と訴えれば,斧を振りかざして頭を切り落とす。「ヌカ漬けの作り方知っているかしら」と問えば,腹を包丁で割いて内臓を引っ張り出し,塩辛の作り方と間違えていたと謝る。

 ときどき屋外編があったり,二人黙り込むシーンがあったりと,独特の破調が読み手を引き込むが,全体これがブラックユーモアになっているのかどうかはよくわからない。
 困ったことに,読むに堪えないとか,一読するや速攻古本屋行き,と言ってしまうにはそれなりに楽しんでしまったし,捨てる気もない。
 いや,どこかにそこいらの名作本より喜んでいる自分がいる。

 なんでこんな遠回しな言い方をしなければならないかといえば,それはこの作品が示す楽しみが「隠微」の領土にあるためだ。美少女の尻の穴さえクリック二,三発で安直に見られるようになった当今,「隠微」こそはなかなか得がたいものであり,なおかつ習慣性の強い媚薬なのである。
 タバコをやめるには,禁煙を宣言して壁に半紙の1枚も張ればよいが,「隠微」から逃れるのは難しい。「隠微」はそれを楽しんでいることからしてそも自分にも内緒だからだ。

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