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2006/06/18

苦いか甘いか 『コーヒーもう一杯(2)』 山川直人 / エンターブレイン ビームコミックス

261【はい ブラックでしたよね】

 ストーリーの小道具として必ず珈琲が登場するほろ苦いショートストーリーズ,第2巻。太い描線が木彫の人形劇を見るようで,登場人物の思慕や郷愁の情がごつごつしたタッチで静かに描かれる。

 この作者は新聞,雑誌などでまれに取り上げられるが,取り上げられるとなるとたいへん評価が高い。その高評価の理由を少し意地悪な目線で考えてみよう。

 昨今はアシスタント制や作画のディジタル化が進んで複雑な図柄の作品が少なくないが,かつて,こういった手造り感のあるマンガは少なくなかった。あまりにも安易で,できれば使いたくないレッテルではあるが,この作品の印象を言葉一つで共有するなら,やはり「叙情的」ということになるのだろう。こういった素朴な叙情性には,現代でも,多数派ではないにしても,一定のニーズはあるのだろう。
 ただ,煎じ詰めれば,一部の作品はわたせせいぞう,一部の作品は西岸良平と同じ枠の中で描いているかとも思われ,つまりは「俗っぽい叙情性」を珈琲に託した短編集,という見方もできないわけではない。いくつかの短編にいたっては,もし文章やほかの絵柄で描かれていたならひどく甘すぎるか,ひどく不快なものになりかねない。だが,この絵柄で描かれたからこの作品はこの作品なのである。

 結局のところ,書店店頭でぱらぱらめくって,この絵柄に期待し,購入した読み手にはまず間違いなく絶賛されることだろう。書評においても同様,本書を取り上げる書評家はその魅力を語り,否定的な書評家はそもそも本書を取り上げないに違いない。

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