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2006/02/20

最近のダメダメ 『はやぶさ新八御用旅(二) 中仙道六十九次』 平岩弓枝 / 講談社文庫

329【隼新八郎どのではござらぬか】

 すちゃらか。
 なんでこうなってしまったのか。

 隅田川沿いの宿屋を舞台にした人情絵巻『御宿かわせみ』が好きだ。そこで,同じ作者の時代モノをいくつか手にとるのだが,似たような味わい,完成度となるとなかなかヒットしない。

 『はやぶさ新八』シリーズは,江戸町奉行根岸肥前守鎮衛の内与力(直属の家臣)を勤める隼新八郎が命を受けてさまざまな難事件を探索する長・短編集。当初は大奥にうごめく男女の愛憎や武家の傲慢を描き,『かわせみ』に比べてどろどろした重い話が多かったのだが,最近はすっかりすちゃらかになり果ててしまった。

 『御用旅』編では,主人公新八郎が東海道五十三次を上って京に参り(一巻),禁裏にかかわる贈賄事件を解決して中山道六十九次を下る(二巻)。
 ところが,事件の謎解きも,恨みを買っての道中も,ともかく要所要所に知人が現れて一事が万事こんびにえんと。連れの子どもが熱を出せば「もしや新八郎様」と親しい医者の娘が現れる。街道で切り合えばその地の用心が「何事」と現れ「これは新八郎どの」と処理してくれる。

 『課長島耕作』を思い出すが,あちらは超大企業の課長“ごとき”がたまたま手を出した女のコネで万事結果オーライという御伽噺だった。奉行の威を借りて下にもおかれぬ内与力が「これはありがたい」の連発では読み手も民草も救われない。

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