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2005/11/07

『暴れん坊本屋さん(1)』 久世番子 / 新書館 UN POCO ESSAY COMICS

6841【今欲しい! 今売りたい!! しかも沢山!! 今!! そーゆー本は思い通りに入ってこない事が多い!!】

 思ったよりオバケ本に手間取って,紹介が遅れてしまった。
 表紙がすさまじくてちょっと引いてしまうが──表紙に限らず中身も全ページこのオバQなのだが──この本を早くから平積みしていた書店は信用できる,かも,しれない。

 本書は,マンガ家久世番子が,大型書店で働く日々の出来事を綴ったギャグマンガ。書店業務の大変さ,出版業界のオモテウラを教えてくれる,なかなかにスパイシーなカリカチュアとなっている。

 くどいようだが絵柄は豪放だし(ほかになんと言えばよいのか),ボーイズラブの「あっやだ,びくっ」なイラストは唐突に出てくるし,オフィスや電車の中でおおっぴらには読みづらい。しかし,書店店員の知られざる仕事や工夫,とんちんかんで迷惑な客とのやり取りなど,これまでになかったブラックな笑いがたまらない。

 「『サティ』って雑誌ない?」→「正解:サライ」,「『誠のうわさ』って雑誌……」→「正解:噂の真相」など,お客さんの言うタイトルは「6割がた間違ってるね」話の究極は「新聞に載ってたアレ」「ハリー・ポッターの書いた『ビーターラビット』」だし,店舗オープン準備中にコミック本全部にビニールのシュリンクをかける話には,取次への返品時に袋を全部はずさねばならないというオチがある。新古書店に転売するために売れ筋本を大量万引きするあくどい手口や,ドリルの解答集をなくして書店店頭に答え合わせにくる親子……。

 1個の職業のノウハウ,苦労話を集中的に描いたマンガには概して秀作が多いのだが,本品はその典型。豪放な絵柄(くどい)ながら,ここに描かれた書店店員たちがいずれも無条件に本好きであることが,読み手にもまた無条件に嬉しい。

 シリアスに見れば『出版大崩壊』や『だれが「本」を殺すのか』でも取り上げられた,書籍流通の問題点の書店側からの検証レポートと読め,本好きなあなたなら手に取って絶対損はないだろう。ただし,「本屋の店員さんはこんなふうに客を見ているのか。すると……」,と,あのあたりのコミックやあのあたりの写真集を買いにくくなっても,当局は一切関知しない。

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