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2005/08/08

『スパイシー・カフェガール』 深谷 陽 / 宙出版

716【カラッ…ウマイ ツーン じ…ん この辛さとキャベツの甘みがなんとも】

 こってり匂いたつような東南アジアンテイストを描かせれば天下一品……というかその方面ではそもそも比較対象の思い浮かばない深谷陽の新作単行本。コミックバンチに掲載されたものに書き下ろしを加えた208ページ。

 ふと立ち寄ったタイ料理店「ドゥアン」の味が気に入り,思いがけず翌日からそこで働くことになった料理人志望のテツヤ。
 いかにも「ワケあり」ふうなごっついマスター,謎の美人ウェイトレス……と身構えるヒマもあらばこそ,あっという間に事件に巻き起まれてさあたいへん。国際陰謀に巨大ルビーに3億円の現ナマ。『運び屋ケン』に通じるノンストップジェットコースターハードボイルドハートウォームサスペンス(ながっ),でもあくまで味付けは東南アジア。
 食べる,驚く,逃げる,料理を作る,また逃げる,また食べる。重い話もあきれた話もテツヤといっしょにわあわあと一気呵成。

 ただ……主人公とヒロイン,あるいは悲運のアフガン少女との交流など,深谷陽特有の「言葉は通じなくとも」タッチは快いが,この作者の作品を読み込んだ者からすると充足感は想像を超えるほどではない。無国籍な話に見えて,実のところこの国で,この国の者によって描かれた,というエリア内での面白さに思われなくもない。

 やっぱり深谷陽は初期の『アキオ紀行 バリ』,『アキオ無宿 ベトナム(1)(2)』の3冊が一番「くる」。
 その後の作品も面白いことは面白いのだが,なにしろ『アキオ~』ではすべてのページ,すべてのコマを流れる時間の色が違う。空気が違う。密度が違う。この国から見た異国なのではなく,バリやベトナムの,がたついた午後のテーブルで食べ物をちょっと寄せて描かれた異国,そんな感じ。それが読み手をねぶる。

 本作のような波乱万丈なストーリーも悪くはないのだが,ただアジアの片隅で食べて寝そべって子供と遊ぶ,そんな深谷陽も久しぶりに読んでみたい。切に願う。

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