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2005/02/21

小学生向け科学マンガ誌の熾烈な争い 『かがくる』 vs. 『そーなんだ!』

543 『クラシック・イン』のように,テーマやページ構成を限定した週刊誌あるいは隔週誌のことを「ワンテーママガジン」というそうです(ただし,この名称には,1冊ごとにテーマが異なる場合と,同一のテーマでシリーズ化される場合があり,必ずしも厳密な定義に基づくとはいえないようです)。

 それはともかく,A4サイズのワンテーママガジンの世界で,今年になってちょっとした熱いバトルが繰り広げられています。それは,小学生向け科学マンガ誌,『そーなんだ!』と後発の『かがくる』の覇権をめぐる争いです。

 『マンガでわかる不思議の科学 そーなんだ!』は,ワンテーママガジンの手法をビジネス的に確立したといわれるデアゴスティーニ社の週刊誌で,小学生高学年(おそらく)を対象に毎号6つの科学テーマをマンガで紹介するというもの。テレビ東京系列ではアニメ放映もされています。
 『そーなんだ!』は3年間ほど刊行されたのち,しばらく休止状態だったのですが,今年になって改訂版が発行され始めました。

 一方,『なんでもわかるビックリ科学誌 週刊かがくる』は,やはりワンテーママガジンを長年手がけてきた朝日新聞社の刊行で,A4変型オールカラー,本文32ページという体裁まで,『そーなんだ!』そっくりです。

 『そーなんだ!』(改訂版)と『かがくる』は今年の1月にほぼ同時に創刊され,定価はいずれも490円。ただし,『そーなんだ!』は創刊号特別定価100円(創刊2号は240円で付録に専用バインダー付き),『かがくる』は創刊号サービス定価240円となっています。
 創刊にあたっての値引き合戦ではデアゴスティーニが二歩ばかり先を行っている感じですが,肝心の内容はどうでしょう。……これはもう,申し訳ないけれど明らかに『かがくる』の負け! と感じました。

 先に書いたとおり,2誌の体裁はほぼ同じ,テーマや対象年齢もだいたい同じように見えます。
 しかし,『かがくる』は,いくつかの点で非常に読みづらく,我が家では早々に子供たちからも「次の号からいらない」とNGが出てしまいました。

 まず,『かがくる』では,マンガのキャラクターは登場はするのですが,コマ割りマンガとして読ませるつもりなのか,ただのグラビアの飾りなのかはっきりしません。見開きの写真やCGでグラビア的に説明しようとするページが少なくなく,それらはけっしてわかりやすいとはいえないのです。
 また,いかにも雑誌ふうに,大きなテーマ,小さなテーマにページが分かれているのですが(『そーなんだ!』は各号,各テーマの重み付けをまったく同じにしている),その是非は別として,よく読むとそれらのテーマがいずれもつまみ食いのレベルを出ず,要するに科学の話題として「なぜそうなるのか」が非常にわかりにくいのです。

 たとえば『かがくる』の創刊号では,タイムマシンという大ネタに6ページを費やしているのですが,どうやったら過去に戻れるかという一番気になる問題については「ワームホールをくぐれば過去へ行ける!」の一点張りで,これでは大人にもわけがわかりません(それなのに,タイムマシンの登場する映画や小説の紹介に1ページ割くのは無茶というものでしょう)。
 もちろん,タイムマシンの理論はたいへん難しいもので,小学生に理解させるのが困難なのはわかります。ただ,それならそのようなテーマは選ぶべきではなかったでしょうし,選ぶなら選ぶで,もっとほかに扱い方はあったはずです。

 もう1つ例を挙げましょう。『かがくる』創刊号の最後には「やってみよう!かがくるマジック」と称して「リンゴにささるふしぎなストロー」,つまりストローの口を親指でしっかりふさげばリンゴに突き刺さる,という現象が扱われています。しかし,ここでもその理由,理論の解説はあっさりしたもので,「子供向け科学誌ではそこがキモでしょう!?」と思われるところがなんだかおざなりなのです。

 『かがくる』の『そーなんだ!』に対するアドバンテージは,カラフルで綺麗な写真が少なからず使われていることがありますが,それでもチープな二線級マンガ家の手による『そーなんだ!』にまったくかなわない感じがするのは,『そーなんだ!』は決して読者を“子供扱い”せず,難しいテーマでも無骨なまでに理屈をゼロから説こうとしているからではないかと思います。
 そのため,『そーなんだ!』は時に大人が読んでも理解に苦労するような難しい内容が登場することもあります。しかし,それが科学の真実なのであり,写真やギャグでお茶を濁すよりは格段によいように思います。子供たちに本当に与えたいのは,わかったような気にさせる子供だましではないのですから。

 もちろん,『かがくる』はこれから内容,水準を調整,改善してくることでしょう。しかし,『そーなんだ!』は,3年ほど前の創刊時以来,不思議なほど品質が一定していること,つまり発刊前に相当にテーマや難易度を練り込んだフシがあることも付け加えておきたいと思います。

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