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2005/02/14

「棚をあけておけといったろ」「ぎゃぼーっ」 『CDつきマガジン クラシック・イン(全50巻)』 小学館

999 薄手で大判,コーティングの綺麗なカラー印刷をウリにした雑誌には,以前から美術,歴史,旅行・建造物,科学・医学などさまざまなテーマのものがありました。
 最近小学館から発刊された『クラシック・イン』は12cm音楽CDつきの雑誌……というより,2週間に1枚,980円でクラシックのCDが発売されて,それにA4変型20ページのカラフルなブックレットがついてくる,そう言ったほうがわかりやすいでしょう。
 新聞日曜版の1面広告などでよく「魅惑のクラシック全集」とかいって通販されている,あれの隔週バラ売りです。

 全50巻の内容はこちらに紹介されています。
 全体的に宗教色の濃くない(もちろん時代的に宗教曲がないわけではありませんが,「レクイエム」とか「ミサ曲」といった曲名は表向き1曲もありません),また比較すれば若干近代寄りの選曲のように思われます。たとえばバッハやヘンデルはドヴォルザークやストラヴィンスキーより扱いが小さい,ガーシュウィンやロドリーゴがタイトルを飾っている号がある,など。
 とはいえ,従来のクラシック全集に比べて決して冒険的前衛的というわけでは決してなく,びっくりするような選曲は皆無。無難というか,オーソドックス,教科書的な選曲が大半です。

 指揮者,演奏家は,全体にそこはかとなくチープな印象が漂うのはやむを得ないとして,個々を見ればそれなりにメジャー。カラヤンとかバーンスタインとかはおりませんが,小澤征爾が2枚ありますし,千住真理子(Vn)や諏訪内晶子(Vn)など,日本の演奏家も何人か取りあげられていて,とくに昨秋家族でTVドラマを見たフジ子・ヘミング(P)は子供たちも楽しみにしています。

 ところで本シリーズ,ベートーヴェンが髪をふるわせて「なぜ創刊号に自分でなくモーツァルトが」と怒るTV CMが笑わせてくれますが,その創刊号にやや疑問が残ります。
 モーツァルトを選ぶのは安易ながら無理からぬところとは思います(ベートーヴェンでは重すぎるし,ヴィヴァルディでは迎合しすぎでしょう)。ただ,その選曲がバレンボイムのピアノ,指揮による
   ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466
   ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K537「戴冠式」
   ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K331より 「トルコ行進曲」
となると,この手の「創刊号をキャンペーン価格で売りまくり,その勢いで50巻を押し切る」企画雑誌としては,地味に過ぎるのではないでしょうか(録音も1967年,1974年,1984年とやや古くてくすんだ印象。音のクリアさだけを比較すれば,創刊2号のヴィヴァルディのほうがずっとよいように感じられました。チョン・キョンファはそのあたり厳しそうだものな……)。
 モーツァルトは全50巻のうち5巻を占め,企画側が力を入れているのはわかるのですが,その選曲は広く浅くでもなければ深く重くでもなく,なんだか焦点がよくわかりません。

 いずれにしても,『のだめカンタービレ』で重度の“突発性クラシックでも聴いてみようか症候群”に感染した患者の皆さん(俺だ!)にはオススメ。ご一緒に2年間,つまみ食いはいかがでしょう。

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