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2005/02/07

『おうちがいちばん(1)』 秋月りす / 竹書房

758 どうしちゃったの,というレベル。

 前作『かしましハウス』も実のところ連載開始当初は各キャラクターの味付けが安定せず,手放しで笑えるようになったのは3巻か4巻めあたりからだった。それに比べて,本作はそもそも登場人物に味付けをしようという意志,推理小説でいえば「伏線」にあたる設定すら用意されていない印象。

 1巻を読み終わった時点で,たとえば夫は優しいのかだらしないのか? 有能なのか無能なのか? 趣味,嗜好は? などなど,まるで思い出せない。主人公たる妻のほうも,育児と勤めを両立するしっかり者なのか『OL進化論』のじゅんちゃんの如きうっかり者なのか,印象が散漫だ。主人公夫婦にしてこれなのだから,ほかの登場人物は推してはかるべしである。

 4コマギャグというものは──と大上段に構えるつもりもないが──登場人物に対して,ある程度の毒の調合は必要だろう。作者の仕向けた毒に耐性をもった登場人物たちが,バイタリティあふれる言動で読み手の予想を覆してみせる,たとえばそういう構造が必要なのだ。テレビのバラエティ番組でもそうだが,「ほのぼの」で笑いをとるというのは,非常にデリケートな毒の処方を必要とする高等技術なのだ。

 一見かわいらしくほのぼのした絵柄ではあるが,秋月りすの魅力は意外なまでに毒のきいた味付けだったように思う。帯の惹句にある「子育てに仕事にバリバリ頑張る元気ママ応援します」などという評価は秋月りすの魅力からもっとも遠いものだったのではないか。

 2巻以降の巻き返しに期待。

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