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2005/01/16

『ホムンクルス(4)』 山本英夫 / 小学館ビッグコミックス

9181 もともと展開が早いとはいえない『ホムンクルス』だが,4巻めはその傾向に拍車がかかり,実質1つ(細分化してもせいぜい3つ4つ)のエピソードで1冊が終わってしまう。
 大ゴマいっぱいに描かれる登場人物たちの露悪的なまでの存在感のぶつけ合いは量感たっぷりだが,このリアリティははたしてマンガとしてのものなのか,ちょいとCGをミクスしてクローネンバーグあたりに撮ってもらったほうがよいものなのか,そのあたり判然としない。

 たとえば,現在は連載を中断している(らしい)井上雄彦の『バガボンド』,あの記録的ベストセラーを僕は好まない。「圧倒的描写力」と賞されるあの画風を,マンガとして評価することができないためだ。
 マンガというのは,たとえば丸の中に点を2つ3つちょちょいと描いただけで人の顔に見える,それを拡張し,洗練した「技術」だと思う。写実的な描写で本物そっくりに見せる手法はマンガでないとまでは言わないが,そうでないマンガならではの「技術」を僕は尊重したい。しかるに『バガボンド』のリアリティは,結局のところ,武蔵を演じきれる役者と優れたディレクターがいたなら実写映像で具現化されたはずのものだ。マンガのコマに映画的手法を取り入れたのでなく,映画として撮るべきものをなぞって紙に落とした印象である。少なくともそこから得られる興奮は,マンガでなければ表出できないものではない。

 『ホムンクルス』についても,似たような懸念はある。
 ただ,この作者はまだ意識して「マンガの側」に立っているところがあって,年末に発行された宝島社のムック「このミステリーがすごい!2005年版」の表紙の右目をおさえた名越にもそれがうかがえて嬉しい(たとえばそのこめかみの汗が,素晴らしくマンガなのである)。

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