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2004/12/15

出版界の謎 「澁澤龍彦とヴェルレーヌの版画集」編

 澁澤龍彦の単行本はたいてい古本屋に売っぱらってしまった。

 学生のころの話である。夜毎飲んで飲み明かして,物入りになると少しでも高そうな本を棚の一段分もジーンズのうすらでかいバッグに詰め込み,体をななめにしてなじみの古本屋に持ち込んだものだ。ロートレアモンやランボーのように,何度も同じ本を出し入れしたこともある。ニーチェは入れたまま出す気になれなかった。肌が合わなかったためだ。
 澁澤龍彦の話だった。黒い本や白い本函入り函なし,どんな本があったかよく覚えていない。古本屋に入れても澁澤龍彦の場合,必要になったらいつでも会えるような気がしたものだ。今思い返せばなぜそのように感じたのかよくわからない。

 1980年代の前半だったろうか,澁澤龍彦の作品が連続して文庫化されるようになった。結局以前読んだ作品,未読の作品の多くを文庫で買いそろえることになった。河出文庫は最近はなんだかヘンな作品ばかり扱っている印象だが,澁澤の文庫化だけでも評価して評価しきれない。

 のちに福武や中公,最近は文春や学研まで澁澤の文庫化に参入,同じタイトルが複数の出版社から出るにいたって,さすがに整理が追いつかなくなってきた。一部(黒魔術や胡桃など)を除けば,翻訳作品まで全作品集めないと気がすまないわけではないが,それでも油断で入手しそこねると愉快とはいいがたい。出版目録でざっと洗って,本棚とつき合わせてみることにした。

 紀伊国屋BookWebで「渋沢竜彦」(しみじみ,無粋だ)で検索してひっかかる本は296冊。テキストをコピーして1つのファイルにまとめ,タイトルでソートしてプリントアウト,ラインマーカー片手に単行本,文庫の棚と順に突き合わせていく。そして,その作業の途中で,こんなものを見つけてしまった。

   おんな・おとこ
   版画集
   ポ-ル・マリ-・ヴェルレ-ヌ;渋沢竜彦
   出版21世紀 1981/09出版
   48cmX66cm 図版34
   [キガイ 判] 販売価:5,712,000(税込) (本体価:5,440,000)
   この商品はご注文いただけません。入手不能です

 残念ながら入手不能とのことだが……もし。もし,在庫ありなら自分はどうしただろう?

 人は崖があれば首を突き出して眼下に砕ける波を見下ろさずにはいられない。500万円を上回る版画集。それがマウスクリック一発で注文できる,なら。

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