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2004年12月の5件の記事

2004/12/31

『バルバラ異界(3)』 萩尾望都 / 小学館fsコミックス

025 飛ぶ子供。
 青羽。
 火星。
 時空を超えてシンクロする夢。

 キーワードを並べてみれば,『バルバラ異界』が『スターレッド』のもう1つのフェノメノンであることは明らかだ。

 ただし……。
 今回萩尾望都は,なんというか,リミッターを外したようなところがあって,読み手にエンターテイメントを提供せんとするサービス精神をさておいて,自身の前頭葉からほとばしるものをあふれて踊るに任せているように思われてならない。
 実のところこの第3巻,購入して数日,すでに何度も読んではいるのだが,最初から通しでは一度も読めていない。通して読もうとするとひどく疲れてしまって,ぱらぱらあちこちつまみ食いのように読むしかなくなるのだ。

 つまるところ,まるで感性のままに書かれた散文詩集のようにこの作品はある。

 にもかかわらず,並みの作家には到底到達し得ない複雑かつ堅牢な構造……。萩尾望都が萩尾望都たるゆえんである。

2004/12/30

『エマージング(2)』 外薗昌也 / 講談社モーニングKC

Photo 前回「タダではすまない。注目である。」と紹介を締めた『エマージング』だが,存外にあっけなく2巻で終わってしまった。

 話題作人気作をいたずらに引っ張ることの少なくない当節では,いっそ天晴れとその潔さを(前作『犬神』を延々引っ張った外薗昌也だけになおさら)評価したい。ただ,その分結末は安易といえば安易。めでたくもご都合主義的なエマージングウイルスの終息は,本作が今後名作として歴史に刻まれることを阻むように思われてならない。

 ポイントは言うまでもなく,登場人物の多くがエマージングウイルスに「感染」はしても死ななかったことだ。
 それはつまり,この作品が描こうとしたものは「感染」であって,決して死に至る「病」ではなかったということだ。

 「感染」に徹底してフォーカスを当てたことを評価すべきか(少なくともそのような作品にはあまり記憶がない),死をも含む重層的な内容を描き切れなかったことを惜しむべきか……とりあえず結論は先送り,そんな感じだ。

2004/12/21

最近の新刊から 『女子大生会計士の事件簿(1)(2)』 山田真哉 / 角川文庫

9821【今度の仕事は五年分の数値を打ち込んで〈年次推移表〉を作成し,その変動を見るという〈分析的手続〉だ。】

 すでにお気づきのことかと思うが,不肖この烏丸,学習マンガが好きだ。「好き」というより「スキスキッ」とライトでスプライトなフェイバリットである。
 さまざまなジャンルの知識を提供するという建付けの中,たとえば,口の立つ少女に圧倒されてばかりの少年が,挽回せんとことごとにムキになる。そんな微笑ましくも幼い恋愛絵巻が懐かしく,愛しい。

 角川からこの秋に文庫化された『女子大生会計士の事件簿』は,マンガではないが,そんな味わいたっぷりの逸品である。

 今回文庫化されたのはすでに4巻発行されている単行本から
   DX.1 ベンチャーの王子様
   DX.2 騒がしい探偵や怪盗たち
の2冊。それぞれ書き下ろしが加えられていたり,「やさしい会計用語集」「英語で学ぼう会計用語集」,さらには登場人物たちによる各編のまとめや読者からの質問コーナーまで用意されて,まことににぎやか・なごやか・まことしやか。

 おっと,肝心の本編についての紹介が後回しになってしまった。
 『女子大生会計士の事件簿』は,現役女子大生で「公認会計士」の〈萌さん〉こと藤原萌実と新米「会計士補」の〈カッキー〉こと柿本一麻がコンビを組んで訪れる監査の先々で,粉飾会計,会社乗っ取り,クーポン詐欺,領収書偽造,原価率操作,インサイダー取引など会計にかかわる謎や事件を解決し,それによって会計の仕組み,会社の仕組みを教えてくれる,というものだ。
 もちろん,こんな軽い短編やその注釈を読んだだけで会計の仕組みがわかるほどその世界は甘くないだろう。それでも会計,経理にうとい者には「なるほど,そだったのか!」と膝を打つ点も少なくない。
 各編に取り上げられた事件は他愛ないといえば他愛ないが,なにしろ素材がバラエティに富んで飽きることがない。1冊1時間もあれば読み終わるライトノベル感覚だが,そのバラエティ,人物の爽やかさをもって,十分再読に耐える。

 とくに「DX.2 騒がしい探偵や怪盗たち」に掲載された「監査ファイル6 〈十二月の祝祭〉事件 ──数字の話──」は,萌実がなぜ若くして公認会計士の道を目指したかを解き明かすちょっぴりハートフルな物語となっていて泣ける。「ちょっぴり」「ハートフル」などという言葉は性分がら使いたくないのだが,ほかによい言葉が浮かばない。

 難をいえば,萌実が「あれ~、そうだったかしら~?」等,セリフの中で「~」や「…」を連発するのが少し目障りな印象。キュートでおじさん受けがよく,利発で聡明,キャラは十分立っているのだから,仕事の現場での会話はもう少しきりっとしたものでよかったのではないか。

 なお,文庫カバーの久織ちまきのイラストは秀逸。迷ったが,ここではDX.1の表紙を転載することにした。かわゆい……。
 ちなみに某社の監査にたずさわる会計士と言えば……言わぬが花のサンフランシスコ・ザビエル。

2004/12/15

出版界の謎 「澁澤龍彦とヴェルレーヌの版画集」編

 澁澤龍彦の単行本はたいてい古本屋に売っぱらってしまった。

 学生のころの話である。夜毎飲んで飲み明かして,物入りになると少しでも高そうな本を棚の一段分もジーンズのうすらでかいバッグに詰め込み,体をななめにしてなじみの古本屋に持ち込んだものだ。ロートレアモンやランボーのように,何度も同じ本を出し入れしたこともある。ニーチェは入れたまま出す気になれなかった。肌が合わなかったためだ。
 澁澤龍彦の話だった。黒い本や白い本函入り函なし,どんな本があったかよく覚えていない。古本屋に入れても澁澤龍彦の場合,必要になったらいつでも会えるような気がしたものだ。今思い返せばなぜそのように感じたのかよくわからない。

 1980年代の前半だったろうか,澁澤龍彦の作品が連続して文庫化されるようになった。結局以前読んだ作品,未読の作品の多くを文庫で買いそろえることになった。河出文庫は最近はなんだかヘンな作品ばかり扱っている印象だが,澁澤の文庫化だけでも評価して評価しきれない。

 のちに福武や中公,最近は文春や学研まで澁澤の文庫化に参入,同じタイトルが複数の出版社から出るにいたって,さすがに整理が追いつかなくなってきた。一部(黒魔術や胡桃など)を除けば,翻訳作品まで全作品集めないと気がすまないわけではないが,それでも油断で入手しそこねると愉快とはいいがたい。出版目録でざっと洗って,本棚とつき合わせてみることにした。

 紀伊国屋BookWebで「渋沢竜彦」(しみじみ,無粋だ)で検索してひっかかる本は296冊。テキストをコピーして1つのファイルにまとめ,タイトルでソートしてプリントアウト,ラインマーカー片手に単行本,文庫の棚と順に突き合わせていく。そして,その作業の途中で,こんなものを見つけてしまった。

   おんな・おとこ
   版画集
   ポ-ル・マリ-・ヴェルレ-ヌ;渋沢竜彦
   出版21世紀 1981/09出版
   48cmX66cm 図版34
   [キガイ 判] 販売価:5,712,000(税込) (本体価:5,440,000)
   この商品はご注文いただけません。入手不能です

 残念ながら入手不能とのことだが……もし。もし,在庫ありなら自分はどうしただろう?

 人は崖があれば首を突き出して眼下に砕ける波を見下ろさずにはいられない。500万円を上回る版画集。それがマウスクリック一発で注文できる,なら。

2004/12/05

アニメ界の謎 「銭形警部とM資金」編

 問題は,銭形警部の本名なのだ。

 しかし,結論を急ぐのはやめよう。まずは,「ドラえもん」である。

 テレビ朝日系のアニメ「ドラえもん」(← Windows XPでは一発で正しく変換!)の声優が来春をもってそろって交代させられるという報道はすでにお聞きおよびだろう。ドラえもん役の大山のぶ代(68),のび太役の小原乃梨子(69),しずか役の野村道子(66)など,1979年の放送開始当時からの不動のメンバーがいずれも高齢に達したことがその理由とされているようだが,四半世紀にわたって「ドラえもん」の人気を担ってきた声優たちを,「後任は人選中」などといった慌ただしいありさまでの交代劇はいかにも不自然である。
 もともと,ドラえもん役の大山とのび太役の小原は仲が悪く,プライベートには口もきかないし,スタジオでも端と端に座る,という噂は有名。しかし,長年テレビアニメのみならず劇場版でまで同じ顔ぶれで活躍してきた声優たちを交代させる理由としてはいかにも弱い。

 実は,いまや日本の大きな輸出資源と化したアニメ作品のキャラクターと声優の組み合わせは,ある特殊な情報を発信する,はっきり言えば国際的な暗号の一種なのである。
 今回の「ドラえもん」の声優交代には,ブッシュ政権と自衛隊イラク派遣の動向にかかわるとある謀略が隠されているのだが,その詳細を明らかにすることは私の家族にまで諜報筋の手がおよぶおそれがあるため,ここでこれ以上は触れない。

 その代わり,同じく人気アニメ「ルパン三世」について,エージェントの間ではそれなりに有名なある事実をご紹介しよう。

 「ルパン三世」とはモンキーパンチの生み出した架空の人物とするのが通例だが,もちろんこれは世間を欺くための詐術であり,終戦の前後にアジア各国を股にかけて暗躍し,M資金を取り仕切った伝説的な人物がモデルであることはいうまでもない。そして「ルパン三世」のいくつかの作品の,特定のシーンの,キャラクターの配置と声優の名前の組み合わせには,M資金の秘匿された資産のあり場所を示す暗号が隠されているのである。
(ここにそのことを明らかにしても私ならびに私の家族の安全が脅かされることがないのは,すでにそれらの資産は回収されたあとだからである。)

 そもそも,「ルパン三世」はなぜ「三世」であって,「二世」でも「四世」でもなかったのか。これは「3」という数字に記号的な意味があったためである。

 「ルパン三世」の原作とも言えるモーリス・ルブランの怪盗ルパンシリーズには,『813』『続813』『八点鐘』という作品があるが,この「8」,そして「3」という数字に着目してほしい。つまり,これらの作品に隠されていた秘密(暗号キー)を伝えるためにも,アニメ版のルパンは「三世」でなくてはならず,声優は「山田康雄」(8マダ8スオ)でなくてはならなかったのである。
 そして,脇役たちの名前も,「次元大介」(プラス1を表す),「石川五ヱ門」,「峰不二子」(3ネ225)など,数字を表すことによって,彼らのコミカルなアクションは各国のエージェントに伝えるべくさまざまな情報を隠しているのである。

 「ルパン三世」を愛する貴方は,ここで指摘するだろう。「そんな馬鹿な。もしそれが事実なら,ルパン三世に登場する脇役中の脇役,銭形警部はどうなるのだ」と。

 そんな貴方に,私は怖ろしい事実を伝えなければならない。銭形警部の本名が作品中に描かれた名刺などから「銭形幸一」であることは,ファンの間では有名な事実である。ところが,劇場版の『ルパンVS複製人間』などごく一部の作品では,彼は「銭形平次」,つまり「2」を表すキャラクターとして描かれているのである。
 そして,その銭形警部の声を演じたのは誰だったか。その声優の名は,納谷悟朗。なやごろう。7856,7×8=56 ……。

 さらに,ルパン三世の初代声優の山田康雄が亡くなったあと,選ばれた声優が栗田寛一,つまり「9」と「1」であることを付記して本稿を終えることとしたい。む。誰だね。どこから入っ……むぐ。う。

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