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2004/11/12

最近の新刊から 『警察署長(15)』 やぶうちゆうき / 講談社 イブニングKC

Photo_2【民間人の家に上がり込み しかも相手を 張り飛ばしただと?】

 イブニング本誌では,警察官としては異例の出身地勤務,かつ署長として異例の在任10年目,しかもキャリアと思えない昼行灯(これはまぁ,そう見えているだけで実は切れ者なんですが),という椎名啓介が,とうとう本庁勤務に向かうという展開となりました。タイトルも『警視正 椎名啓介』と変わり,これまでのようにシンプルな性善説に立脚したほのぼのタウンストーリーというわけにはいかなくなる感じです。

 一人の若い警官が死に際して残した手紙,おそらくそれは警察機構の闇に関するもので……という設定と4冊の単行本を残してたかもちげんが急逝したあと,それを引き継いだやぶうちゆうきは思いがけず(失礼)『警察署長』をしっかりした独自の作品に仕立て上げました。とくに番外編の単行本『警察学校物語』にも明らかな若手警察官の成長物語,また1巻に1編は登場する老人の生きがいと町の防犯,警護についての提案……これらはたかもち作品にはなかった本シリーズの魅力です(スプラッタなサイコホラーや連続殺人犯との知恵比べの合間にたまに読むからいい,という面は否めませんが)。

 「署長 椎名啓介」編も残り少ない第15巻でフューチャーされたのは,本池上署勤続35年,生活安全課 家事相談係主任 堀内純子巡査部長(通称・家事さん)。
 今回のキモは,この家事さんの27年前,まだ新婚のころの活躍なのですが,家出少女や親の庇護を受けられない子供たちを助けるストーリーそのものはいつものごとしとして,気になったのは,彼女が事件の関係者に対して,気合い入れのためとはいえ,再三平手打ちを食らわしていることでした。

 もちろん,巡査が一般市民を殴ったなら,暴力事件として大変な問題とされるでしょう。やぶうちゆうきもそのあたりはわかっているに違いなく,「おまえのクビが飛ぶどころじゃない!」等々,彼女の上司(当時)の課長に弁明させています。
 当たり前ですが,これはあくまでフィクションとして読むべき話なのでしょう(逆光の中,受験校の体育館に現れる堀内巡査のカッコよさはほとんどケンシロウ)。

 ……しかし,こと「体罰」については,ときに疑問に思うことがあります。

 家庭内で子供を殴れば児童虐待,学校内なら暴力教師。……では,子供はどこで痛みを覚えるのか。どこで罰を覚えるのか。

 よく,子供や若者に対して「理解させる」という言い方をします。しかし,転んで膝を打つ痛みでなく,暖かい母親の手のひらで頬を打たれる「痛み」を知らない者に,言葉で「痛み」の説得はあり得るのでしょうか。
 もちろん,虐待,暴力を是とするつもりはありません。客観的な「程度」の程合いが難しいのは承知の上で……それでも尻を叩いたり,ほっぺたを張り飛ばしたりしないといけないときはあるのではないでしょうか。

 個人的には,グーで殴る覚悟なしに子育てなんて出来ない,そう考えています。

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