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2004/11/08

最近の新刊から 『ヒストリエ(1)(2)』 岩明 均 / 講談社 アフタヌーンKC

Photo_4【「ぼんやりにも程がある」】

 ごく稀にですが,出会えた喜びに体が知らず熱くなるような,そんな作品があります。しかし……出会ってしまったことに畏れさえ覚え,体がきいんと冷たくなる,そのような作品はさらに得がたいものです。
 『骨の音』『寄生獣』の岩明均の新作『ヒストリエ』は,まさしくそのような作品の1つです。

 主人公エウメネスは,第1巻の帯によるとアレキサンダー大王の書記官とのこと。
 ですが,第2巻まででは,旅の若者エウメネスの幼年時代が描かれるばかりで,まだ彼が「何者」なのかは明らかではありません。……ただ,少なくとも彼が「ただ者ではない」ことだけはさまざまな切り口から描かれています。白っぽい絵柄,淡白な述懐に浮き彫りにされるエウメネスの底知れぬ資質──それをさっくりと描き抜く作者の手腕──は,鳥肌が立つほどです。
(単行本の表紙からすると,カラーは苦手,ということかもしれませんが……。)

 ローマ・カルタゴ間の紛争に巻き込まれたシラクサ,そしてアルキメデスの死を描いた前作『ヘウレーカ』は「さあこれから!?」と期待されたところで終わってしまいました。今となっては,それは本作のための習作だったのか,などと邪推したくなるほどです。しかし,つまらぬ論評はほどほどにして,しばらくはただ作者の技に身をゆだねましょう。

 萩尾望都『バルバラ異界』とともに,現在最も注目すべき連載作品であることは間違いないと思います。『バルバラ』は想像力の飛翔の自在さにおいて,『ヒストリエ』は表現(記録)への透徹した誠意において。

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