ブルクミュラー 25の練習曲
子供向けの作品のセンチメンタリズムつながりということで……。
ブルクミュラーの練習曲に対する感情,これを何と言い表せばよいのでしょうね。
楽曲として好もしい,というのとは少し違う。たとえばこれをぜひとも高名なピアニストの演奏で聞きたいとか,CDで手元におきたい,という欲求はとくにありません。
バスを降り目的地に向かう週末の昼下がりの住宅地,夾竹桃の植わったブロック塀の向こうからとつとつとした「パストラル(牧歌)」が聞こえたりする,そんなシチュエーションがよいのです。
多分,黄色バイエルあたりではまだその子が「練習させられている」イメージが強すぎ,さりとてブルクミュラーより難しくなってしまうとそれはそれで「ちゃんと弾けないといけない」,そんな痛々しさがあるのですね。
ブルクミュラーはその合間の,ちょうど自分が「弾ける」ことに指が踊るというかそんな楽しさ,さりとて勉強のためにそろそろピアノをやめなきゃとか音大に進もうかとかそんな重みもなく,要は子供の側が自在で軽やかなのです。
とはいえ,曲そのものはそう簡単でもない。
このへんまでくる子は頑張ればとりあえず最後まで弾くことはできるのですが,うまく演奏するのはなかなか難しい。発表会では「タランテラ」や「貴婦人の乗馬」あたりが重なることが少なくありませんが,同じ期間一生懸命練習してきたはずなのに,見事に差が現れます。うまく弾けたら,それはもうとても素敵です。
今日,たまたま久しぶりにそのページを開いて,それぞれの曲が1ページかせいぜい2ページなのに正直驚きました。どれ,とピアノに向かって……錆びた指は最初のページの「すなおな心」に対してさえまるで動かないのでありました。
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