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2003/01/25

『まんがサイエンスVIII ロボットの来た道』 あさりよしとお / 学習研究社(NORAコミックス)

Photo【今の時代にキミはいないんだよね】

 くるくる回転図書館でも何度か取り上げてきた『まんがサイエンス』の最新刊である。

 今回の主人公は,池上タクミ少年。
 ある日彼の家に「タクミさんはわたしのことを知りませんか」とロボットが尋ねてきた。タクミはこのロボットがどこから来たのか,どこに行くのかを求めて,近所のお姉さんとともに調べて歩く。なぜロボットは人間と似た姿を持つのか。二足歩行することの困難とは。心を持つロボットは実現可能なのか。

 今回は,過去のシリーズでおなじみだったよしおくんもあさりちゃんも,あやめちゃんもまなぶくんも登場しない。これは「5年の科学」「6年の科学」に連載された作品であり,1年間のひと区切りを越えて同一のアイデンティティを保つ必要はないのだ。
 ではあのよしおくんは,あさりちゃんは,あやめちゃんは,まなぶくんはどこへ行ってしまったのか。

 ……などとセンチメンタルな気分になってしまうのは,今回の第VIII巻が,どこかうら寂しい雰囲気を漂わせているせいかもしれない。
 登場する少年型のロボットは,最後まで名前を与えられない。彼はヘルメットの下の「目」を描かれない。どこから来たのか,どこへ行くのか,明快な答えは最後まで得られない……1つの未来の「可能性」は描かれるにしても。
 そして,その未来にすら,やはり強い孤独の匂いがたちこめる。

 自分がどこから来たのかを淡々とタクミに尋ねるロボットの姿はとても痛々しい。自分が人間に作られた目的を求め,ロボットの完成の意味を問い,この時代に自分のようなロボットはいないことを悟る彼の言葉はこの上なく切ない。胸が引きちぎられるようだ。

 その切なさの裏側には,あの夏の日のようにロボットに無限の夢を重ねることのできなくなった自分がいる。このロボットは,僕たちが未来の世界で「二度と出会えない」友人の姿なのかもしれない。それはもう,遠い,遠い,遠い,遠い……。

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