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2001/05/18

ヒーロー舞い戻る 「週刊コミックバンチ」創刊1号 / 新潮社

【オレの事か… そりゃスマンね】

 青年コミック誌「週刊コミックバンチ」の創刊号が5月14日(火曜日)に発売された。
 コミック誌の創刊は,珍しいというほどでもないが,少々ひねった頭でっかちかターゲットをしぼったオタク向けが多く(だからよいとかいけないとかいうことではもちろんない),このようなメジャー志向の週刊誌の創刊はここ数年あまり記憶にない。

 この雑誌が話題になったのは昨年の夏で,2000年8月8日のZAKZAKによると
「大手出版社の新潮社(本社・東京,佐藤隆信社長)が、『週刊少年ジャンプ』元編集長の堀江信彦氏(44),漫画家の原哲夫氏(38),北条司氏(41)らと共同で設立した新会社『Coamix(コアミックス)』を軸に,来春をめどに漫画週刊誌を創刊する計画を進めていることが8日までに分かった。新漫画誌は8月中に名称が決まり,創刊時約50万部を予定。」
とのことだった。5月中旬の発売だから,ほぼ予定通りに進行したことがうかがえる。

 その陣容だが,これはもうまるっきり80年代の少年ジャンプ。
 なにしろ創刊号の新連載が,『北斗の拳』『花の慶次』の原哲夫,『シティーハンター』『キャッツ・アイ』の北条司,『よろしくメカドッグ』の次原隆二。さらに創刊2号には『県立海空高校野球部員山下たろーくん』『ペナントレースやまだたいちの奇蹟』のこせきこうじ,『The Momotaroh』『リベロの武田』のにわのまことの連載が用意されているというのだから,鳥山明,ゆでたまご,車田正美らがいないのが不思議なくらいだ。
 ターゲットは,その当時少年ジャンプの熱心な読者だった現在の20代,30代のサラリーマンか。お色気,ギャグは飾り物程度,モーニングやオリジナルに見られるサラリーマン頭脳戦的色合いもほとんどなし。あるのはアクション,男気,勧善懲悪……往年の少年ジャンプをそのままシフトしたような作風だ。
 要するに強くてかっこいい主人公が敵を倒してわくわく……王道といえば王道である。

 それだけではない。原哲夫の連載の主人公は『北斗の拳』のケンシロウの師リュウケンの兄・拳志郎。北条司の連載は『シティーハンター』の事実上の続編。次原隆二の連載の主人公は『よろしくメカドッグ』と連続性こそないが,老年のメカニック。いや,それだけではない。今泉伸二の『リプレイJ』はさえない中年サラリーマンが学生時代に再生し人生をやり直すという話,渡辺保裕『ワイルドリーガー』はかつて日本プロ野球で活躍したピッチャーが9年の空白後に復活する話,そして柳川喜弘の作品は柴田錬三郎原作の『眠狂四郎』だ。
 『北斗の拳』や『シティーハンター』を持ち出したのは,ネタに困ってや営業的な話題作りではないのだろう。連載がこぞってそうなのだから,これは編集方針なのだ。要するにこの雑誌がやってみせたいことは,単なるヒーローの提供ではなく,ヒーローの「復活」なのだ。

 これだけはっきりした編集方針を打ち立てたコミック誌というのは,そうあるものではない。その方針の是非はわからないし,5年前なら苦し紛れにしか見えなかっただろうが,小泉内閣の支持率を見ても,この国は今,閉塞感の反動として強く猛々しいヒーローの復活を求めているようにも見える。さて。
 
 若手の連載にも絵に力があり,火曜日は(少なくとも関東では)週刊コミック誌のエアポケットでもある。来週以降,しばらく買い続けることになりそうだ。

 ……でも,やっぱり狂四郎は雷蔵のがいいな。

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