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2001/04/20

マッドサイエンティストは永遠の夢 『空想科学エジソン(1)』 立案 柳田理科雄,画 カサハラテツロー / ソニー・マガジンズ

Photo_3【ザットンの言う通り 頭の回転が早く 猛々しい娘じゃ】

 素晴らしい夏だった。もう30年以上前のことだ。
 小学校の理科実験室の主として君臨して2年目の夏,鏡とレンズを利用した距離計(1人で対象物までの距離を3~40メートルまで測れるもの)に続いて着手したのは,3つのスイッチで7つの動作をリモートコントロールできる手製の戦車だった。糸ノコで切り出した板の上にマブチ15モーターやら豆電球やらを所狭しと並べ,キャタピラー前進,ドリル回転,ブザー,左ランプ点灯,中央ランプ点灯,右ランプ点灯,ミニプロペラ発射を操作。
 設計図だけで2か月かかった。それから製作に1か月。楽しかった。本当に,夢のように楽しかった。
 それから灰色の雨が降って,あの設計図,糸ノコ,テスター,ハンダゴテ,水中モーター,「科学」の付録,2号とジェットモグラ,それら全部がおさまった工具箱はどこに消えたのだろう。

 マッドサイエンティストは永遠の夢だ。秘密兵器を満載した水陸両用車,湖底の秘密基地,暗号と地図,言葉を解する愛犬,謎の敵に幽閉されたテレパシー少女。

 ……目が覚めると,水陸両用車はトランクに子供のローラーブレードを積んだファミリアだし,秘密基地は郊外のありふれた一戸建て,謎の敵はどこかで道くさをくっていまだ現れない。
 だから,今日も元マッドサイエンティスト志願者はため息をつきながら本を開くのだ,そこにいたはずの自分,自分の手によって作られたはずの機械。機械。大量生産でなく,手作りの,機械。

 そんな気分を久々に楽しめたのが今年3月末に発売されたばかりのコミック『空想科学エジソン』。
 ノストラジアは四方を高さ500メートルの断崖に囲われた聖なる楽園。主人公の田中麗奈,ぢゃなくて少女ミロは父ドクトル・ロマンの残した万能工具バルカンを手に,今日も大水車の支柱傾斜調整の仕事に励む職工だ。そんなある日,ミロは滝壷で発見された不思議な球体エジソン=シュタインと出会う。そして滝の上から落ちてきた自動戦車。世界は動き始めた,滝の上,外の世界へ。

 鶴田謙二の弟子が『風の谷のナウシカ』を描こうとしたら『未来少年コナン』になってしまった,そんな感じだろうか。立案は『空想科学読本』の柳田理科雄,絵も話も荒っぽいが,まだ1巻,これからの展開を楽しみにしよう。万能工具とはいわないまでも,プラスドライバー片手に。

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