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2001/04/13

マスコミの誤報について その六 蓼喰うバグも好き好き

 以下,朝日新聞のコンピュータ関連報道をざっと駆け足で見ていこう。

 1987年9月,「日本IBM,一般家庭向けパソコンから撤退 日電などに押され」。
 何かといえば,あの,IBM5550の家庭向けとして森進一まで使って発売された,上にバカが付くほど価格が高くて,遅くて,ソフトがなくて,販売チャネルもないためさっぱり売れなくて,倉庫に余りに余って,数度にわたって社員に押し付けたがそれでも処理しきれなかった16ビット機「JX」の撤退記事である。撤退もなにも,コンシューマ市場では参入できてない次元だったと思うが。
 ……過去,ほとんどのパソコン,家電製品の製造終了を記事にしなかった朝日新聞,なにもよりによってそんなものの撤退記事を載せることもあるまいに,やはりIBMの名前に「ゆゆしきことらしい」と反応してしまうのだろうか。しかも記事をよく読むと,「家庭向けの中でも教育用としては,上位機種を中心に販売を続ける意向」,なんだ撤退ですらない。在庫を処理したいので,もう一度だけ記事にしてくれないかと頼まれでもしたのかしらん。
(仕事でしばらく5550を使っていた烏丸,JX発売当時,個人で購入しないかとIBMの営業マンに持ちかけられたが,今思うと断ってまことに惜しいことをした。インターネットを探しても,個人でJXを購入した経験談などほとんどないのである。)

 1996年12月,科学欄のJPEG技術を紹介する記事。
 「JPEGは,画像の細かい部分が少しぐらい変化しても人間の目が気づかないことを利用する。画像に離散コサイン変換(DCT)という細工をし、大きな構造と細かい構造に分解し、画像の全体にあまり関係がない細かい構造は捨てる。」
 ふむふむ,なるほど。問題はその続き。
 「顔の画像なら,顔の輪郭や髪形などの情報は間違いなく残し,細かいニキビや髪の毛一本ずつの情報は,思い切って減らす。」
 思い切っても,離散コサイン変換ではニキビは減らないと思うが。傍には牛の図があって,DCT変換をすると地面の情報,空の情報が「粗い」,牛の情報,雲の情報,牧草の情報が「細かい」。……いや,あの,その。
 画像変換についての知識のない文系の記者が,専門家に説明を仰いだ際に説明のための比喩を真に受けた,といったあたりか。
 ちなみに,なぜすでに技術として(よい意味で)枯れたJPEGを取り上げたかいえば,NTT情報通信研究所の所長安田浩氏がエミー賞の科学技術賞を受賞したため。記事にするのはともかく,1996年にもなって「画像圧縮に熱い視線」の記事タイトルはいかがなものか。

 これは比較的最近の記事。1999年10月の夕刊,社会面トップ。
 「ソフト『一太郎10』成人の日はいつ? 祝日改正知らず」,つまりジャストシステムが祝日の改正を知らないで,2000年の成人の日を15日にしたままだった……そりゃ,障害といえば障害だが,ワープロソフトのカレンダー出力機能なんていったい誰が使うんだか。コンピュータの「2000年問題」関連の話題を探していた記者の目にたまたまとまったのだろうが,オマケソフトに社会面のトップ費やして「ユーザーの1人は『欠陥があるのに,修正はおろか問題点を知らせもしないのは不親切』」ではさすがにジャストシステムがお気の毒。

 そんなことより,2000年問題に怯えて「データが読めなくなるといけないから」と数万枚の紙に預金データをプリントアウトしたどこかの銀行のおまぬーを指摘するほうがまだ有意義だったと思うのだけれど。2000年になってコンピュータが壊れたら,プリントアウトからデータを入力し直すつもりだったんでしょうか。

(つづく)

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