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2001/04/12

マスコミの誤報について その五 舶来パソコン好み

 朝日新聞のコンピュータ報道の大きな特徴の1つは,まず,そのくどいまでの略語好きである。
 スーパーコンピュータは「スパコン」,インターネットは「ネット」,最近では米Microsoft社を「マ社」「マ社」と連呼した記事が印象に残る。
 スパコンという言葉からは大らかな愚かしさしか感じないし,インターネットはインターネットであってネットではない(第一,ローカルエリアネットワークやパソコン通信ネットワーク等との違いをどうするつもりだ)。「マ社」にいたっては……ただもう気持ちが悪い(*1)。
 略語の多用は一定のスペースに情報をおさめるため,という理屈はわからないでもないが,それならそれぞれの対象について標準的な略語を調査するべきではないか。

 もう1つの特徴に,舶来パソコン好き,ということがある。企業でいえばIBM,機種でいえばMacintoshの話題がお好みのようだ。
 その最たるものが,1992年後半から1993年にかけての,IBM PC/AT互換機万歳記事である。
 たとえば1993年1月の「10万円切るパソコン 米社,春にも日本で発売」,この「米社」というのはデルコンピュータ社のことだが,要するにアメリカで4番目のコンピュータ会社が日本で少し旧いスペックのパソコンを投げ売りするぞという報道が一面扱いである。前年秋にコンパックが12万円パソコンを出した際にも一面で報道された。
 しかし,これらの廉価機は,実際にはほとんど売れなかった。当時国内でPC/AT互換機を購入していたのはまだマニアと呼ばれる層で,売れ線は20万円以上,いや30万円台のハイスペック機だったのである。

 もっとも,これらの報道は,国内メーカーのパソコンの低価格化とPC/AT互換機化については大きな影響を及ぼしたといえるだろう。それがその後のWindows95ブーム,インターネットブームに結びついたことを思えば,ユーザーにとって非常に有意義な記事だった,という見方もできる。
 気になるのは,これらの記事を担当した人物が,のちに,コンパックやデルの廉価パソコンが売れそうもないのに一面で報じたことについて「国内メーカーの奮起をうながすためだった」と述べていることだ。これは明らかに経済報道に「恣意」を込めたということであって,大部数の新聞の一面でそれが許されることなのかどうか,少々疑問が残る。
 また,世界標準ともいえるPC/AT化が進んだ,ということは,裏返せばそれまで各メーカーが競い合っていた日本独自の仕様を壊滅的に滅ぼしたということでもある。チップや基板の大半をアジア諸国から安く輸入し,筐体におさめて販売する,それが現在の国内大手パソコンメーカーのビジネスであり,そのため日本語入力に適したキーボードの開発などはほぼ完全に放棄された。国内の技術者たちの意欲も高いとは思えない。

 PC/AT化,Windows,インターネットの普及は世界規模の趨勢であり,朝日新聞がどう書こうがその流れは変わらなかったかもしれない。しかし,少なくとも大部数を背景に歴史に竿をさすのなら,パーソナルコンピュータについて十分な調査を重ねたうえで記事を起こすのが当然だろう。
 残念ながら,先に紹介した誤報以外でも,朝日新聞のコンピュータ関連記事には,とても十分な調査に基づいたとは思えない記事が少なくないのである。

*1……これほど略語が好きなくせに,少し前まで「CD-ROM」という用語が出てくると必ず(読み出し専用メモリ)とかいうカッコ書きが付いていたりした。語源的には間違いではないが,CD-ROMはいまや配布メディアであってメモリではない。

(つづく)

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