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2001/04/11

マスコミの誤報について その四 朝日新聞一面を飾ったハードウェアたち

 一昨日の「くるくる」を読んだ知人から,昨年の『正論』に朝日新聞紙上の考古学上の誤報をレポートした記事があったようだ,と連絡あり。あいにく手元に該当の『正論』がないのでその件はまたの機会に譲るとして,本日は当初の予定通り朝日新聞の一面を飾ったパーソナルコンピュータ関連の記事を追ってみよう。

 1990年5月の「高校生コンピューター・ウイルス事件」以外で,朝日新聞がパーソナルコンピュータについて一面で報道した記事にはどのようなものがあったか。

 たとえば,1993年1月には「プリンター内蔵のノート型パソコン,2月発売」という記事がある。
 日本アイ・ビー・エムのThinkPadとキヤノンのバブルジェットプリンタを1つの筐体におさめたというものだが……どうもこれを一面で紹介する根拠がわからない。バランスを考慮しながら機能を絞って携帯性を保持することこそがノート型パソコンのレゾンデートルだろう。それにプリンタを合体させて一昔前のポータブルワープロのような重い筐体にしてどうする。出先でプリントアウトしたいなら,当時それなりの廉価さでヒットしていた携帯用バブルジェットプリンタと組み合わせれば十分。
 というわけでこのIBM ThinkPad 550BJは朝日新聞渾身の提灯記事(?)の甲斐なく,登場と同時にあっさり歴史の彼方に消えた。

 ハードウェアそのもの以上に「朝日新聞が一面で取り上げた」ことが話題になったのが,1988年2月の「機種の枠なくすパソコン,今月発売 IBM・日電と互換」という記事である。
 見出しだけ見れば当時全盛のPC-9801とIBM PC/AT,東西の膨大なアプリケーションをすべて使える素晴らしい規格に見える。しかし,実際のところは,PC/ATの基盤にPC-9801の差分を加えたような無理やりなハードウェアにそれぞれのBIOSをファームで載せたキメラである。技術的な面白さがないわけではないが,エプソンの98互換機と違い,機構上,どうしても同性能のPC-9801,PC/AT単体より安くは作れない。記事中では「BIOSさえ用意すれば,東芝J3100,富士通FMR,日立B16,さらにIBM PC/ATの日本語仕様のAXなどのソフトも使えるようになる」と夢とロマンを掻き立てるが,考えるまでもなくいずれもPC/ATライクなMS-DOSマシン,それぞれのアプリケーションがほかの機種で動作しない悪習は問題としても,たとえばさまざまな機種用の「一太郎」を持って困っているユーザーがどれほどいたか。この「標準機」とやらが売れないのは当然だった(*1)。実際,多数のメーカーの参入を期待した日本パソコンソフトウエア協会の野望むなしく,それまで聞いたこともなかったトムキャットコンピュータ一社のみの参入,販売チャンネルもヨドバシカメラだけという惨状だった(*2)。
 ちなみに,この「標準機」は,Windows3.0登場以前のハードウェアの違いを吸収しようとする技術的な試みの1つとして,それなりに評価すべきものではあった……ただし,ビジネスとしてはまがいもなく無謀な企てであり,大手新聞一面で紹介するのが妥当かと言われれば(誤報とまではいわないものの)「苦笑い」としか言いようのないものだった。

*1……たとえば本体3万円,5千円のアダプタを買えばPS,ドリキャス,64のゲームがいずれも遊べる,というゲーム機ならそれなりに売れそうに思えるかもしれないが,残念ながらMS-DOS用のアプリケーションは,そういった共有ハードが必要なほどにはバラエティがなかった。

*2……真偽は知らないが,40台しか売れなかった,との噂あり。

(つづく)

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