夢裁判
少女A,ある日少年Bを告訴します。
無断でわたしのこと,夢に見るなんて酷いわ
肖像権の侵害よ,基本的人権の冒涜だわ
と,いうのです。
少年B,腹を立てます。
逆に提訴の申し立て。
ぼくの夢に勝手に出てきたのは君のほうじゃないか
不法侵入罪の適用がなされるべきだ
と,いうのです。
喧々囂々裁判は長引きます。
少女Aやがてふっくら美しい娘となります
少年Bいつの間にか,たくましい青年になってしまいました。
今日は新任の裁判長のやってくる日
裁判長,長女の三つの誕生日なので早く帰りたい
そこで早々に決着をつけることにしました。
コンコン,静粛に!
判決を下す!
少女A,少年B,二人の罪はともに重く許しがたい
よって二人とも無期懲役の刑を課す
死ぬまで互いの手を放さず
一生しっかり見つめ合うこと!
閉廷!
花吹雪舞い散る中
第一書記ここに記します。
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