『ふしぎだいすき! マジックえほん』 作・上口龍生,絵・こやまけいこ / 晩成書房
【あのね あのね】
左手の親指を「く」の字に曲げ,同じく「く」の字に曲げた右手の親指を曲げたところでくっつけ,くっつけたところを右手の人差し指で隠して右手をスライドし,「わぁ! 親指が切れちゃった!」。
手品と言うも恥ずかしい,文字通りの子どもだましだが,当時5歳と4歳の息子たちには風呂の中でウケにウケた。そしてその翌日,ちょっとした事件が起こった。下の子が,「パパのまじっくをぼくもやりたい」とカッターで親指を切ろうとしたのだ。
幸い怪我はなかったが,今さらながら子育ての怖さ,責任の重さにズシンとやられた気分だった。
他愛ない手品でそれだ。子どもの本を1冊選ぶのも神経を遣う。妙な本は読ませたくない。かといって,雑菌を知らない心身は弱い。
今日ご紹介するのは,それからほんの少し大きくなった我が家の子どもたちへのお土産である。
本書『ふしぎだいすき!』は,プロマジシャン・上口龍生氏が原作,パソコン誌の連載マンガやWebサイトのイラストで知られるイラストレーターのこやまけいこさんがマンガを担当したマジックえほん。
主人公の「しんちゃん」がマジックショーをきっかけにふしぎな世界に迷い込む「ふしぎのくに」と,身近なものを使ってできる手品の数々を紹介した「ふしぎのもと」の二部構成になっている。「ふしぎのくに」で出会ったさまざまなふしぎが,「ふしぎのもと」で子どもたちにも体験できる手品として紹介され,その手品を知って「ふしぎのくに」を読み返すとまた「ふしぎのもと」を試したくなり……。
子どもたちだけでない。大人にとっても「ふしぎのくに」の最後の1コマは,とても大切なものだ。忘れがちだけれど,忘れてはいけないものがそこにはある。
「ふしぎのもと」で紹介されるのは,10円玉やひもを使って行う簡単な手品や,1枚の絵が若い淑女にも老女にも見えるとか,
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のどちらが長いか,といった,目の錯覚の引き起こすふしぎのあれこれ。知っているのもあったが,知らないものもあれこれあった。また,子どものころに親や友だちから教わり,友だちを驚かせた,ちょっとした手品のいくつかを何十年ぶりかに思い出したりもした。
表紙回りをはじめ,あちこちに工夫がこらされていて,楽しい。
巻末には付録として,切り取って使える実践用のカードも付いている。子育て真っ最中の方はもちろん,子ども会の担当の方などにもお奨めしたい。
とりあえず,この週末,父はヒーローである。
ちなみに,イラストレーターのこやまさんのホームページ「こぐま工房」はこちら。
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