「ヒカ碁」でブレークした小畑健の好編 『魔神冒険譚ランプ・ランプ』 小畑 健 / 集英社(ジャンプ・コミックス)
【オレは誰のいいなりにもならねんら──っ!!】
小畑健のデビューは,10年ほど前,少年ジャンプ誌上に土方茂名義で連載した『CYBORGじいちゃんG』。農夫にして天才科学者の改造時次郎が農作業用サイボーグに自らを改造してアナーキーに大暴れ,というギャグマンガで,そこそこ人気を博したものの単行本4巻で打ち切り。CYBORGばあちゃんQのヤングモードがギャグマンガとしては異様なまでに美麗だった。
同時期の少年ジャンプには,たとえばこせきこうじ『県立海空高校野球部員山下たろーくん』,にわのまこと『The Momotaroh』が載っており,同じようにアクションとギャグをメインにした作品でありながら,決して絵が巧いとは思えないこせきやにわののほうがずっと少年ジャンプらしいパワーがあって不思議に思ったものだ。ちなみに,土方はデビュー直前はにわのの元でアシスタントをしていたらしい。
『魔神冒険譚(アラビアン)ランプ・ランプ』はその土方が小畑健とペンネームを変え,原作に泉藤進をつけて連載したもの。といっても泉藤進原作の作品はこれしか見当たらず,何者かはわからない。
魔神と人間が平和に共存していた世界は,邪悪の化身ドグラマグラが現れて以来崩れ去った。いまや魔神たちは人々を蔑み苦しめるだけの存在。そのドグラマグラと対立していた魔神ランプが100年ぶりによみがえり,封印を解いたトトやその姉ライラの願いに応えてドグラマグラと闘う。ドグラマグラの正体は。そして,アラビアンゲートの謎とは。
本作の小畑健は,ともかく描線が美しい。キャラクターが巧い。無造作に選んだページがそのままポスターの原画になりそうな,そんなクオリティである。また,敵・味方のキャラクターはそこそこ個性豊か,武器や闘い方もアイデアにあふれる。人間の娘ライラは可憐,敵側の千眼魔神(女にしか見えないが男言葉)はセミヌードで色っぽい。それぞれの敵と戦う過程,ひ弱な人間たちの見せる勇気……などなど,見所は少なくなく,単行本3巻はバランスよく今も読み返しに耐え,とくに最後の宿敵ドグラマグラとの闘いは圧巻。
ところが,それではダメ。メジャーになれない。その理由が,うまく説明できない。
鳥山明『DRAGON BALL』も,実のところストーリーが破綻し,キャラクターのインフレーションが起こったところから人気が爆発したように見えた(アニメ化の影響もあるだろうが)。『アストロ球団』や『リングにかけろ』などと同じように少年ジャンプの伝統「友情・努力・勝利」にちゃんとのっとっているように見えるのに,『ランプ・ランプ』にはいったい何が足りなかったのか。
あるとしたら絵柄やストーリーが几帳面にまとまりすぎていること。少年ジャンプでブレークするには,なんらかの「破綻せんばかりの過剰さ」が必要だったのかもしれない。ふと,少年サンデーに連載されていたらどうだったのか,などと思ったりもする。
小畑健はその後
『力人伝説』(原作:宮崎まさる)
『人形草紙あやつり左近』(原作:写楽麿)
と原作付きで描き続け,
『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ/梅澤由香理)
にいたってようやくメジャーの仲間入りを果たした。『ランプ・ランプ』と何が違うのか,今読み比べても……やっぱりよくわからない。
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ランプランプで検索したらここが出て来たので読ませてもらいました
ランプランプが打ち切りになった理由は当時の掲載作品を見たらわかるんですが、他が強過ぎた。これだけです
この作品は一級品で、今掲載されてたら間違いなく長期連載してアニメ化もしたでしょうが、当時は他の作品がとんでもなく魅力あふれる作品だらけだったので、その中では下の方に行ってしまい打ち切りになったというだけですね
投稿: ななし | 2015/04/24 10:37