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2000/11/24

烏丸のそれはちょっといやだ その5 『グイン・サーガ(75) 大導師アグリッパ』 栗本薫 / ハヤカワ文庫

Nimg2530【ヤオイ,ヤオイとはしゃいで】

 最近,親しい者の集う掲示板では,栗本薫(中島梓)周辺のどたばたについての報告があった。

 栗本薫はヒロイックファンタジーの長編「グイン・サーガ」シリーズを発表し続けており(一昨年には32冊書いたそうだ),それなりに売れているようなのだが,最近は作風が「お耽美」「やおい」に傾き,しかも本人が同人誌として「グイン・サーガやおい小説」を個人販売し,一部のファンを呆然とさせいるというのである。
 最新刊のあとがきでは,作者本人がニフティの会議室やどこかのHPについて「書かれたものはともかく著者の人間性についてまでバリザンボウをあびせてよいのか,オフで栗本薫の前で同じことが言えるのか。匿名だからと何でも言っていいという態度は許せない」とケンカを売っているらしい(と聞いて,あとがきだけ見るために最新刊買ってくる烏丸の野次馬根性もどうかとは思うが)。

 知人が教えてくれた彼女の個人サイトは全文太字指定,しかも左右めいっぱいに表示されて実に読みづらいのだが,ざっとスクロールしてみたところ「自分はまだまだ老大家ではなく若者のつもりで,だから攻撃的に書いていくぞ」というような部分に少しだけ笑ってしまった。自分が老大家として若者から攻撃されるのは許せないわけである。
 読者が身勝手なのはある程度しようがないと思うし,マスに作品を販売するなら匿名か否かを問わず多少の個人攻撃を受ける覚悟も必要なのではないか。お耽美というのがどれほど高尚な趣味か知らないが,「レズビアンのアダルトビデオが好きだ」と公言する男の世間ウケがよいとも思えないし。

 栗本薫は,デビュー当時のシリアスなミステリやSFはそれなりに楽しみに読んだものだが(というより,本格ミステリが壊滅的に枯れた時期だったので,それっぽいものならなんでもよかったのだ),どんどん趣味と違うほうに行ってしまい最近は全く手にしていない。デビュー長編ミステリ『ぼくらの時代』の主人公の組むロックバンド名が「ポーの一族」という無神経さには少し引けてしまった。また,主人公が作家名と同じ薫クンというのも,『赤頭巾ちゃん気をつけて』の庄司薫の老後の貯えを削ってしまったわけで,結果的にひどいことをしたものだ。
 当初は心理ミステリだった伊集院大介モノも後半は催眠術使いまくり,明智探偵と怪人20面相との戦いみたいになってしまった。
 
 問題は,少女マンガについて,評論の権威がほかにあまりいないということである。評論家は数いても,誰か一人,といったときにこの人を思い出すメディアの担当者はいまだ少なくないのではないか。しかし,この人のマンガについての物言いがかなり偏っているのは明らかで(橋本治に比べれば内容がないも同然),栗本薫がある世代や層を代表するような書き方されても困ってしまうのだけれど,今後とも大物マンガ家の再版とかいうことになるとこの人が担ぎ出されることになるんだろうなあ。
 それはちょっといやだ。

 なお,本気の同性愛の人はやおいを許せるのかという疑問もあるが,真実を追求したい気持ちはちーともわかないのであった。
 別の知人によると,グイン・サーガはタイトルで大体どの国がその巻のメインなのかがわかり,パロのクリスタル公がらみ,モンゴールのイシュトヴァーンがらみのタイトルの場合はお耽美ないしほもネタなので×。ボーダーライン上のは中身をパラパラとめくってから買うとのことである。なるほど。

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