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2000/10/25

今日はビゼーの誕生日 『風車小屋だより』 ドーデ,大久保和郎 訳 / 旺文社文庫

Nimg1965【とりとめもなく……】

 今日,10月25日はワルツ王,ヨハン・シュトラウス(1825年),そしてジョルジュ・ビゼー(1838年)の誕生日。

 ビゼー作曲,クリュイタンス指揮,パリ音楽院管弦楽団の組曲『アルルの女』『カルメン』はとてもよい。カラヤンに比べてゆったりとしてつやがあり,ストコフスキーより明確。
 とくにあれだけ幅とねばりのあるクラリネットとフルート(アンリ・ルボン?)の音色は,あまり記憶にない。低いところから,こう,ひたひたと,しかし着実に満たしていくような。
 高校時代だったろうか,毎週のように縁戚の家を訪ね,応接間にこもって『アルルの女』を繰り返しかけながら,本棚のポーやユゴー,メルヴィルにふけったことを思い出す。

 シュトラウスやビゼーは,音楽の教科書や入門用名曲集に再三取り上げられた分,損をした感じがしないでもない。ツウをきどる会話では出てこないか,せいぜい『美しきパースの娘』について知ったかぶりする程度。『カルメン』(メリメ)や『アルルの女』(ドーデ)の原作まで追う者が,今,どれほどいるだろう。

 そういうわけで,今朝は,ドーデ『風車小屋だより』なんて懐かしいものを持ち出してみた。添付画像は,あの,草色の厚紙の箱に入っていたころの旺文社文庫で,これもまた懐かしい。フランシス・ジャムの『三人の少女』は当時旺文社文庫でしか読めなくて……とか言っても感傷にすぎないのはわかっているのだが。

 今ふうにいえば『カルメン』が青年将校によるストーカー殺人事件なら,『アルルの女』はストーカーにすらなれないウブな青年の物語。
 二十歳になる明るい百姓の青年ジャンが,闘技場でたった一度会ったことのあるビロードのレースずくめのアルル女に夢中になる。彼の家族は反対しつつも披露宴を催すが女は現れず,ほかの男の情婦であることが明らかになる。ジャンは陽気にふるまうが,ある朝,母親の制止をふりきって飛び降り自殺してしまう。

 その前のページの,『星』という短編が,これまたうっとりするほど美しい。
 羊飼いが番をする山の上にお嬢さんが食糧を持って現れる。ところが雷雨による増水で帰ることができなくなり,二人は並んで星を見ながら星についての言い伝えを語り合う。そのうち,お嬢さんは羊飼いにもたれるように眠ってしまう。それだけ。

 村祭り,プロヴァンスの教会,山羊,羊,星。星。

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