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2000/10/05

気分転換にイチオシ 『チャート式国語1・2 基礎からの漢文』 江連 隆 / 数研出版

Nimg1598【あにはからんや おとうとをや ……ん?】

 ここしばらく,春秋戦国を描いた『東周英雄伝』(鄭問),悪役扱いの多かった曹操を主に据えた『蒼天航路』(王欣太),聊齋志異風の怪異譚『諸怪志異』(諸星大二郎)など,中国古代史に立脚した骨太なコミックが続々と現れている(『西遊妖猿伝』はパス。不勉強で申しわけない)。

 とくに台湾の鄭問が史記,十八史略に材を採った『東周英雄伝』は逸品中の逸品で,水墨画と近代コミックの技術を融合させた大胆にして精緻な画面構成はただもう圧倒的。
 ……と,このまま『東周英雄伝』の紹介に入ればよいのだが,それでは芸がない──というより,烏丸の力量ではせいぜい全3巻に扱われている人物や故事を列挙するしかできそうもない──ので,ここでは少し角度を変え,別の本を紹介しよう。

 先に挙げた作品,あるいは田中芳樹らの中国史モノを読んでいると,要所だけでよいから原典にあたりたいという欲求がふつふつと沸いてくる。さりとて漢文の授業をさぼりまくったこの身には,今さら史記,三国志まるごとは荷が重い。

 たとえば漢詩なら,岩波文庫『王朝漢詩選』(小島憲之),岩波新書『新唐詩選』(吉川幸次郎,三好達治),講談社現代新書『漢詩をたのしむ』(林田慎之助)等々,そこそこ廉価,どこから読み始めどこで休憩してもそれほど後ろめたくない,そんな書籍が少なくない(1冊何万,何十万円という,恐れ多い書物も少なくないが,それはそれ)。こんな感じで漢文がダイジェストに味わえて,なおかつそれなりにお勉強になるものはないものか。

 ……お勉強? お勉強といえば学習参考書なんてどうよ。
 というわけで早速書店に赴き,コギャルに混じってぱらぱらあたってみたところ,これなどいかがであろう,『チャート式国語1・2 基礎からの漢文』。
 昔は背表紙見るのもうんざりな参考書だったが,今こうして自由な読書の対象としてみれば,その内容のなんと豊穣,懇切丁寧なこと。

 史記・十八史略に論語・孟子,道家・法家に屈原・陶潜。聖仙杜甫・李白に残った白居易。もちろんあれこれの漢文・漢詩には,返り点,送り仮名はもとよりルビ完備,語釈通釈は時代背景まで詳細。口絵,写真はおろか,巻頭には中国歴史年表,巻末には中国文学地図まで準備は万端。駅徒歩3分ビジネスホテルのお手軽さである。
 烏丸曰く,これだけ親切にしていただいて買わない手があるだろうか,いやない。一人書く世界網の上,すいすい書けざるいかんせん,具や具や今夜はカレーにしよう。

 ま,そういうわけで,久しぶりにめぐり合えたお気に入りを吟じて〆としたい。

     涼州詞  王翰

   蒲萄美酒夜光杯
   欲飲琵琶馬上催
   酔臥沙場君莫笑
   古来征戦幾人回

      蒲萄(ぶどう)の美酒 夜光の杯
      飲まんと欲すれば 琵琶馬上に催(もよほ)す
      酔うて沙場(さじょう)に臥(ふ)す 君笑ふこと莫(な)かれ
      古来 征戦 幾人か回(かへ)る
 
 

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