『愛のさかあがり』 とり・みき / 筑摩書房(ちくま文庫)
【いずんし らあぶり】
人の噂によれば,某サイトのシステム管理者2号氏が,「恋を探して来ます」と夏休みをとって出かけたまま行方知れずなのだそうである。
そこで,今回は「マンガの最終回シリーズ」を1回お休みいただき,「~を探す」本を取り上げ,2号氏の行方について考察する1つの契機としたい。「~を探す」といえばシェル・シルヴァスタイン『ぼくを探しに』か,とも考えたのだが,ここはひとつ,2号氏も愛読のとり・みきを取り上げることにしよう。
『愛のさかあがり』は,コミックエッセイというジャンル分けがあるなら,その古典の1つ。ギャグ漫画家とり・みきが,愛を求める旅を仕事場から海外にいたるまで,あれこれ繰り広げる。
もともとは1985年から翌年にかけて,今は亡き「平凡パンチ」に連載されたもの。角川から発売された単行本は「天の巻」「地の巻」「無用の巻」の3部構成であったのに対し,文庫版は「上巻」「下巻」の2冊となっている。2冊になっても別によいのだが,文庫版では単行本化の際に加えられた細かい注釈や諸氏からのメッセージまでとり去られており,単行本を知る者には少し残念。
さて,その愛を求める旅だが,これがあるときはウェット,あるときはクール。
愛はときには○○○○の形をしてドアノブからぶら下がっていたり,金縛りの最中に巨大な金色の○○○の形をしてお腹の上に乗っていたり,あるいは築地の朝の謎のあたまライスだったりと,けっこうトリッキーに姿を変える。
とりわけ読者から題材を求めた「イタイ話」シリーズと路上観察の一環としての「オジギビト」シリーズはポイントが高く,「あれ見た?」と全国の漫画ファンをとりこにし,この後数年にわたって漫画談義のトリを飾って青い鳥を鳥捕り帰る鳥捕りの声。
え? それで2号氏はどうなった? さて。どうなったんでしょうね。
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