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2000/08/13

まやかしごまかしおためごかし 『マスコミ報道の犯罪』 浅野健一 / 講談社(講談社文庫)

Nimg924  インターネットが身近になった昨今,Yahoo!JAPANのニュース欄などでは,時事通信,ロイターなど通信社からの「なま」のニュース配信に直接触れられるようになった。悪くないことだと思う。それと見比べるうちに,朝日,讀賣などの大手新聞がいかに配信データをそのまま垂れ流しているか,あるいは逆に,いかにそのデータに根拠のない勝手な解釈を付け加えているか,ということが見えてくるからだ。
 「~が明らかになった」とだけあって,誰がいつどこでそう述べたか明記していない記事は,大手マスコミの報道であっても眉唾で対したほうがよい。

 本書『マスコミ報道の犯罪』の著者は元・共同通信の記者で,現場での体験から,日本のマスコミ報道がいかに客観報道からかけはなれたものか,またそのためにいかに多くの一般市民が事実から隔離され,あるいはより具体的に被害を被っているかを説く。5W1Hを押さえた文体は明快で,一種のカタルシスさえ与えてくれる。
 たとえばオウム事件の際,警察からのリークだけをベースに,どれほど憶測に基づく報道が繰り返されたか。松本サリン事件の河野さんに対する扱いを思い起こせば,大手マスコミ報道の矛盾点は明らかだ。

 そして本書の最後には,ブラックというか痛烈なしっぺ返しが待ち受ける。
 著者は「あとがき」として,松戸OL殺人事件の小野悦男容疑者をマスコミが最初から犯人扱いしたこと,それが結果としては冤罪だったことを,自著の論拠として掲示している。ところがその小野容疑者が,釈放後,今度は同居女性殺害,女児誘拐・殺人未遂等で再度世間を騒がせた,という揺るがせない事実。
 冤罪判決の是非についてはさておき,ここではむしろ,このアイロニーを,「報道に対しては常にニュートラルに対する必要があること」「いったん明らかになったと思われることでも,常に検証を重ねる必要があること」の好例とみなしたい。

 とにもかくにも,大手マスコミの報道なら無条件に信用してしまう傾向のある方に,ぜひともお奨めしたい一冊。

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