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2000/08/10

『図説 剣技・剣術』 牧 秀彦 / 新紀元社

【冥府魔道 修羅の道】

 この『図説 剣技・剣術』,実は大変な本なのではないかと思う。内容はタイトル通り,あらゆる「剣技・剣術」を図解して説明するというもの。A5版297ページ,1,900円。お買い得だ(多分)。
 とりあえず,帯の内容紹介から引用しよう。
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「一の太刀」(一刀で勝敗を決する豪快な示現流剣術),「惣捲・そうまくり」(5人の敵をなで斬りにする連続技),「信夫・しのぶ」(暗闇の敵を倒す技),「暇乞・いとまごい」(暗殺剣)など,剣の技を中心に長刀(薙刀,槍,棒・杖)や暗殺・護身用に使われた仕込み刀の技も紹介します。
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 むう。PCの前で曲がった背筋もピンシャンとしてくるようではないか。

 紹介されている剣技・剣術のそれぞれには,(決して巧みとは言えないが)誠実なイラストが添えられ,それがいかなる技かコマ落ちながら見て取れる。その他,剣術の歴史や作法,刀剣の形状・系譜など,テキストもいたれりつくせり。僕は軍刀を一振り所有してはいるものの,刀剣については全くの素人で,この書物の内容がこのジャンルのものとして充実しているのか否かの判断は正直つかない。しかし,コンビニエンスな品揃えへの情熱は本物であり,さらに「眠狂四郎の円月殺法」「木枯し紋次郎の長脇差剣法」「拝一刀の水〓流」(〓は「鴎」の「メ」部を「品」にしたもの)など,フィクションも並び扱うなど,その柔軟な姿勢も魅力的だ(ないものねだりだが,コミックまで扱うのなら,白土三平の剣豪マンガに出てくる剣技の数々を,コラムでもよいから取り上げて欲しかった……)。

 本誌を,たとえば「全国剣道なんとか大会」出場者や居合の有段云々な方々が参考にして,さてどうなるか……ということについては,想像の及ぶところではない。得られるものもなくはないだろうが,やはり実技としての剣技はまた別のものだろう。
 これは全くの想像だが,本誌の出現を待ち焦がれていたのは,これから時代劇をものしようとする小説家,漫画家,さらにはテレビディレクターや脚本家の卵たちではないか。その意味で,著者の「あとがき」が,また味わい深い。
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今後はマンガの殺陣に関する(絵コンテを切る)お仕事や,ポーズ写真集の刀剣インストラクターといった業務も手がけていく予定なのだが
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 なるほど……。こうなってはもはや忍術漫画に出てくる白髪白髭の服部半蔵のごとく,縁側に立って「フーム」とうなり,著者・牧氏の活躍を祈るしかあるまい。

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